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NFTについて思うこと
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- Risto Nishimura
- @risto_jp
最近毎日のように耳に入ってくるNFTという技術。
よく理解せずに「これからの時代はNFTだよ!」という声も多々聞く。
僕がNFTについて思うことを言語化していこうと思う。
そもそもNFTって何?
NFT(Non-Fungible Token)とは非代替性トークンと呼ばれるブロックチェーン上に記録される一意で代替不可能なデータのことである。
めちゃくちゃシンプル。
ブロックチェーン上に固有の識別子と、そのデータと、保有者を保存する。
たったこれだけの話。
もう少し具体的に話してみる。
実際はより複雑なデータ構造になっているが、理解しやすいようにシンプルな構造で説明しよう。
識別子 | 保有者 | データ |
---|---|---|
1 | risto24 | 画像 A の URL |
2 | foo | 画像 B の URL |
3 | bar | 画像 C の URL |
上記の表のような情報をブロックチェーン上に保管する。
そして、それぞれのデータの保有者は変更することができる。
識別子 | 保有者 | データ |
---|---|---|
1 | risto24 | 画像 A の URL |
2 | 画像 B の URL | |
3 | bar | 画像 C の URL |
従来ではデジタルデータに保有者を付けることは困難であったが、このようにブロックチェーン上に保管することで、デジタルデータに希少性や唯一性というものをもたらしたのである。
NFTアートなどのデータ本体はどこにあるの?
答え:普通のサーバーです。
なんかあっけない。でもこれがNFTアートの正体。
ブロックチェーン上のデータに含まれるのは、作品名や名前などであって、作品自体は含まれない。
なぜならデータ量が増えると、ブロックサイズや手数料などの色々な問題が発生するからである。
つまり、取引データはブロックチェーン上で安全に保管されるが、作品本体は無くなってしまうリスクはあるということになる。
まぁ、作品がなくなったら大変なことになるので、様々な対策がなされているとは思うが…。
本当に唯一性をもたらすのか?
答え:複製できます。
NFTが管理しているのは「サーバー A にある作品 A は risto24 さんのものです」というような情報。
サーバー A にある作品 A は所詮デジタルデータ。いくらでも複製可能。
また、ブロックチェーン上に保管する情報に、作品自体の唯一性の担保はな
つまり「作品 A を違う名前で色々登録する」なんてことも、やろうと思えば出来てしまう。
NFTを買ったら所有権や著作権も得られるの?
答え:得られません。
現時点では、NFTに関する法整備を待つか、別の契約を締結する必要がある。
ただ、取引データは残り続けるので、権利の主張を行う際には使えるのかもしれないが、専門外なので分からない。
最近のNFTアートの盛り上がりについて思うこと
インターネットにはNFTについて様々な見解がある。
この記事もそのひとつに変わりない。
NFTアートの資産性などについて言及する気はない。
そもそもコレクターや投資とは、そうゆう世界で生きてるわけで、将来の資産性が確実に担保されたものなど存在しないからである。
ただ、最近の盛り上がりを見ていると NFTの本質を理解されずにNFTアートだけが一人歩きしている ように思えてしまう。
このままでは情報弱者をターゲットにした詐欺まがいの取引が蔓延るのではと心配している。
調べてはいないが、恐らく既に起きているだろう。
筆者が伝えたいのは NFT=NFTアートではない ということである。
個人的には、近いうちにNFTが本領を発揮するのは、この技術を活かしたチケット転売防止サービスなどではないかと思っている。
最近、Twitter でもNFTアートがアイコンにできるようになった。
Elon Musk が、あるNFTアートの画像を拾ってきて、プロフィールにしたところ、サザビーズのデジタルアート責任者から削除要請を受けた騒動があった。
その後に彼が呟いた「I dunno … seems kinda fungible」という言葉は、そんなNFTアート業界への疑問を表したものなのではないだろうか。